コロナ禍に際して、『日本ケアラー連盟』が昨年3月に緊急ケアラーアンケートを行なったところ、多くのケアラーが介護時間と介護負担の増加に疲弊している実態が明らかとなった。「リハビリや外出機会が減少し、本人の体力が落ちて体調管理が困難」「状況を理解できない息子が自傷行為を起こしている」「要介護者が家にいるので、自分自身のことや家事ができなくなった」「私自身4ヵ所の医院に通っているが、自分のをキャンセルすることも」「飲食店経営で、お客様が入らなくなり危機。障害のある息子を抱え、この先どうすればいいのか」「寝たきりで終末期の母と自閉症の息子のダブルケアをしています。ケアする私のことも誰か助けてほしい」。多くのケアラーにとって最大の不安は、自分が感染したり濃厚接触者になったりした時のことだった。しかし、そうした緊急事態に介護の代替え案が「ある」と答えた人は約9％のみ。この結果を受け、日本ケアラー連盟では、緊急時に必要な情報をまとめておく緊急引き継ぎシート『ケアラーのバトン』を作って公開した。連盟ホームページ（https://carersjapan.jimdofree.com/）でダウンロードできるほか、厚労省といくつかの自治体のコロナ関連サイトにリンクされている。ケアラー感染時等に要介護者の受け入れ態勢を整備する自治体もあるが、まだまだ少数だ。今年3月27日に連盟がオンラインで開催したフォーラム『コロナ禍におけるケアラー支援を考える』でも、それぞれ老親と知的障害のある我が子をケアする2人のケアラーから、コロナ禍での体験を聞いた。障害特性による感染予防の困難や、地域の支援情報がケアラーに届きにくい実態のほか、利用している事業所でクラスターが出たとたんに「すべて家族に丸投げ」となった辛い体験が語られた。働いていたり自身が病気を持っていたり、多重介護だったり、ケアラーの生活状況も様々だ。「独居ならサービスが入るのに、家族がいれば『家族でなんとかしろ』では、あまりにひどい」という訴えは痛切だった。日本にも、ケアラーを支援する社会的仕組みが不可欠だ。これからも、ケアされる人もする人もともに尊重される社会の実現を目指して、活動していきたい。　＝おわり


児玉真美（こだま・まみ）　フリーライター・『日本ケアラー連盟』理事。1956年生まれ。身体的にも知的にも重い障害のある33歳の娘がある。著書に『海のいる風景』（生活書院）・『私たちはふつうに老いることができない』（大月書店）等。


　　2021年6月8日付掲載

テーマ : 私たちにできること
ジャンル : 福祉・ボランティア

ケアラーの中でも、社会から最も見えにくい存在がヤングケアラーだろう。家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行なっている18歳未満の子どもたちのことだ。発達期の子どもが介護を担うことで、年齢相応の学校生活を送れなかったり、介護をしていることを周りに話せず孤立したり、複雑な葛藤を抱えて苦しんだり、進学や就職にも影響が出たりすることが懸念される。「僕は祖母の介護とひきかえに、友だち、学業、仕事、そして時間を失った。本当は『だれか、助けて』と叫びたかった。祖母が亡くなった時に『おばあちゃんは孫のあなたに介護してもらって幸せだったね』と言われたが、僕が欲しかったのは、僕と祖母の幸せが両立できる生活だった」と話すのは、10代から20代後半まで祖母を介護した元ヤングケアラーである。4月に発表された国の実態調査の結果では「家族の世話をしている」と回答した中学2年生は17人に1人、高校2年生で24人に1人だった。世話をする時間の平均は、1日約4時間。それでも中高とも「相談した経験がない」生徒が6割を超え、ケア負担を抱えて孤立している実態が明らかとなった。この結果を受け、先月17日に政府のプロジェクトチームは支援に向けた報告書を公表。いくつかの自治体でも、啓発や相談窓口の設置、居場所づくりなどの取り組みが始まっている。一方、今なお社会から見えにくいままなのが老障介護の実態である。とりわけ障害のある人の親による介護は、本人が何歳になっても“育児”のイメージのまま、「親が面倒を見るのは当たり前」とみなされてきた。しかし、数々の調査によれば、主たる介護者は今なおほとんどが母親であり、高齢期を迎えた親たちは自分が病み、衰え始めている。それでも地域に本人を支える十分な支援や暮らしの場がないために、介護を担い続けざるをえない。90代の母親が健康不安を抱えながら、障害のある我が子のケアを担って暮らしている事例すらある。“家族の世話をしている子”・“障害のある人の親”もケアラーとして捉え直すことによって、そこに“支援を必要とするひとりの人”が見えてくる。


　　2021年6月1日付掲載

テーマ : 私たちにできること
ジャンル : 福祉・ボランティア

ケアラー支援の先進国の一つ英国では、1995年に介護者法ができ、数回の改定とその他の関連法により、ケアラーを支援する法整備が進んできた。最も特徴的なのは、ケアラーアセスメントだろう。要介護者のサービス利用状況とは関係なく、ケアラーが自身のニーズのアセスメントを自治体に請求する権利が認められている。アセスメントで支援の必要が認められたケアラーには、自治体が支援計画と予算案を作成する。一定の条件を満たせば国民保険の未払い分が補填される、年金保障制度もある。地域にはケアラーセンターがあり、啓発や情報提供、カフェや集い、緊急時の支援などを行なっている。日本でも昨年3月に埼玉県で、今年4月に北海道栗山町で、それぞれ国内初、市町村初のケアラー支援条例が誕生した。埼玉の条例は「すべてのケアラーが個人として尊重され、健康で文化的な生活を営めるように」「ケアラーが孤立することがないよう、社会全体で支える」ことを基本理念にうたう。県内のケアラーの実態調査と有識者会議での議論を経て、ケアラー支援計画が準備されつつある。栗山町では今後、官民による支援推進協議会が立ち上げられ、①相談・支援体制整備②ケアラーの交流の場の設置③支援を担う人材育成――などを盛り込んだ3年間の推進計画が作られることになる。介護と育児のダブルケア、複数の人を介護する多重ケア、男性介護者の増加など、介護の多様化が進む。介護離職者や経済的に困窮するケアラー、介護虐待、介護殺人も増えている。このまま放置すれば社会保障への圧迫だけでなく、労働力不足や社会不安など、社会的・経済的リスクがあまりにも大きい。『日本ケアラー連盟』には、ケアラーから多くの悲痛な声が届いている。「疲れて、人と会っても笑顔が出ません。介護がなければ生活がもう少し楽になるとか、醜いことを考える自分が情けなくなります」「心と身体が壊れる前に助けてほしい」「経済的に困窮する恐怖を感じないで過ごしたい」「介護される側だけでなく、介護する側にも社会的な権利を認めてほしい」。さらに多くの自治体で条例化やケアラー支援の体制づくりが進むこと、そして日本でもケアラー支援法が制定されることを望みたい。


　　2021年5月25日付掲載

テーマ : 私たちにできること
ジャンル : 福祉・ボランティア

“大切な人を介護する あなたも 大切な一人です”。『日本ケアラー連盟』が制作・販売しているケアラー手帳の表紙にはこう書かれている。“ケアラー”は耳慣れない言葉かもしれない。そのまま日本語にすると“介護者２だが、“介護者”のイメージは“高齢者を介護する人”にとどまりがちだ。連盟では、障害児者や難病の人のケアや、依存症や引きこもりの人などの見守りや気遣いをしている人も広く含めて、家族など無償の介護者を“ケアラー”と呼び、ケアラーへの支援の必要を訴えて啓発活動や政策提言を行なっている。私自身、重い障害のある娘の乳幼児期に、夜通し続く異常な号泣や頻繁な病気、いつ急変するかわからない緊張感で心身とも疲弊し、苦しんだ体験がある。仕事との両立に悩み市役所に電話で相談すると、「障害児はみんなお母さんが面倒を見てますよ」。天職と決めていた英語教師を辞めるしかなかった。それでもなお疲労困憊の日々が続いたが、どうしても「つらい」「助けて」とは口に出せない。むしろ、つらいと感じる自分を「母親なのに」と自責しては頑張り続け、心を病んでいった。「お母さん、限界なんじゃない？」と気づいてくれたのは娘の主治医だった。向こうから手を差し伸べてもらえなかったら、自分では助けを求められないまま、私と娘のどちらか、または両方が死んでいたと思う。今なお“家族が介護するのは当たり前”という社会通念は根深い。多くのケアラーが、かつての私と同じように「つらい」と口にできないまま苦しんでいる。介護離職者は年間10万人ともいわれる。私と同じように職業を手放した無念を抱えているケアラーも多いことだろう。どんなに深い愛情があっても、どんなに壮絶な努力をしても、生身の人間が一人でできること、耐えられることには限界がある。ケアラ―が健康で豊かな生活を送り、継続性を失うことなく自分の人生を生きられるよう、ケアラーを支援する社会的な仕組みが求められる。


　　2021年5月18日付掲載

テーマ : 私たちにできること
ジャンル : 福祉・ボランティア

リトアニアが先月12日、隣国ベラルーシの主力輸出品である肥料用カリウムの輸送中止体制を整えたと発表した。アメリカが昨年8月に発表した禁輸に同調するものだ。昨年12月には禁輸措置が発動される筈だった。この間、リトアニアのイングリダ・シモニテ首相にはアメリカから継続的に圧力がかかり、辞任寸前まで追い詰められていた。カリウム鉱石を内陸国のベラルーシから船で輸出するには、リトアニアのクライペダ港に鉄道で運ぶ。今回、『国営リトアニア鉄道（LTG）』は制裁に協力することで、年間7000万ユーロ（※約90億円）の売り上げと、取り扱い貨物の4分の1を失う。制裁でリトアニアが苦しむ結果になった。ベラルーシにとってカリウム鉱石は主要な外貨獲得手段。リトアニアに亡命中のベラルーシ反政権派の関係者は、「恐らく抜け穴を探して輸出を続けようとする筈だ」とみている。


　　2022年2月号掲載

テーマ : 国際ニュース
ジャンル : ニュース

ハンガリーからウクライナへの天然ガス輸出が1月1日以降、再開された。これによってウクライナのガス供給源は多様化した為、同国のエネルギー面での安全保障環境が改善した。ロシアによるクリミア併合を受けて、ウクライナは2015年からロシアとは天然ガスの直接取引をしておらず、国内で消費するガスのうち、3割以上を輸入に頼る。2020年には30％近くをハンガリーから輸入していた。しかし、昨年9月にハンガリーがロシアと天然ガスの長期供給契約を結んだことを受けて、ハンガリーとウクライナの取引は停止されていた。今回の措置で、ハンガリーが権益を持つクロアチアのクルク島LNGターミナルにアクセスできるようになることの価値は大きい。


　　2022年2月号掲載

テーマ : 国際ニュース
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1月7日夜、立憲民主党代表の泉健太ら幹部は、党員やパートナーズらとのオンライン対話集会に臨んでいた。ある党員がこう呼びかけた。「皆さん、辻元さんに国政に戻ってきてほしいですよね」。その場にいた他の党員は口々に「そうだ！」と賛意を示す。PCカメラの前の辻元清美は、はにかんだ笑顔を見せた。今、立憲民主内で、先の衆院選で落選した辻元を今夏の参院選で復活させようという仰天プランが浮上している。維新が強い大阪選挙区では当選がおぼつかない為、知名度を活かして全国比例で当選させようという計画だった。辻元自身は未だ小選挙区での当選に拘りを見せているが、党としては参院選の目玉にしたいと考えているのだ。終わった筈の辻元を引っ張り出さなければならないほど、立憲民主は厳しい状況にあるということだ。立憲民主幹部が実情を明かす。「今度の参院選、このままではうちは惨敗してしまう。一人区は全敗ではないかと党執行部は危惧している」。参院選の勝敗を左右するのは、全国に32ある一人区だ。第一次安倍晋三政権が退陣に追い込まれる契機になった2007年の参院選では、民主党等野党系が一人区で23勝6敗と圧勝したのに対し、第二次安倍政権下の2013年の選挙では、逆に自民党が29勝2敗とほぼ総取りした。野党が一人区を取る為に不可欠なのが、候補を一本化して自民党と一対一の構図に持ち込むことだ。しかし、立憲民主前代表の枝野幸男は他人事のように分析してみせた。「今回、野党は選挙区の棲み分けはできない。私も福ちゃん（＝前幹事長の福山哲郎）もいなくなったから、日本共産党とのパイプがなくなった。共産は国民民主党の候補にはぶつけてくるだろうし、維新も一人区に候補を出してくる。野党の一本化は無理だから、うちは厳しいだろうね」。

この言葉通り、共産は年末から既に一人区への候補者擁立を始めている。これは立憲民主に対する“脅し”だった。共産としては、衆院選で合意した閣外協力を反故にしようとしている立憲民主の新執行部に対して、「うちとの共闘路線を捨てるならガチンコになるぞ」と踏み絵を迫っているのだ。こうした苦境の中、新代表の泉健太は確固たる方針を打ち出せないでいる。立憲民主関係者は苛立ちを露わにした。「泉はブレ過ぎている。『提案路線だ』と言いながら、結局、役所をつるし上げる野党ヒアリングも止められないし、『共産との関係を見直す』と言いながら、共産と会話をしようともしない。中身がない男だから、存在感すらない」。恐らく、国民の大多数は未だに新しい立憲民主代表の顔も名前も記憶していないだろう。1月11日に発表されたNHKの世論調査で、立憲民主の支持率は前月から3.3ポイント下落して5.4％。維新の後塵を拝することとなった。立憲民主の中堅議員は肩を落とした。「代表選をやって人事を刷新したのに、効果が全くなかった。このままでは参院選で維新に野党第一党の座を奪われてしまう」。そんな立憲民主の迷走を象徴する事件が、1月5日に起きる。東京都荒川区のホテルで開催された『連合』の新年交歓会。言わずと知れた立憲民主の支援団体の新年会だが、そこに足を運んだのは首相の岸田文雄だった。現職総理として9年ぶりに出席した岸田は、「参院選は重要な選挙だ。政治の安定の観点から与党にもご理解とご協力を賜りたい」と挨拶した。連合に秋波を送ったのだ。連合幹部も驚きを隠せなかった。「今までも現職総理が出席することはあったけれど、官房長官や官房副長官まで連れて来たことはない。自民党として、連合の一部を取り込もうという決意の表れなんだろう。抑々、組合員の6割以上が自民党に投票しているからね」。この場で泉は挨拶をすることも許されず、幹事長の西村智奈美も所在なげに立ち尽くすばかりだった。連合会長の芳野友子は周辺に対し、泉への不満を漏らした。「泉代表は、我々がこれだけ共産との決別を迫っているのに、未だに何の説明にも来ない。あまりにも不誠実だ」。どっちつかずの泉に痺れを切らしていたのだ。参院選においては、連合は複数の組織内候補を擁立する為、衆院選以上の集票力を発揮する。立憲民主にとっては本来、頼みの綱の存在だが、優柔不断な泉の対応に隙間風は強まるばかりだ。弱り目に祟り目とはこのことだろう。1月5日、ウェブメディア『Choose Life Project（CLP）』に出演するフリージャーナリストの津田大介や『東京新聞』記者の望月衣塑子らが、CLPに立憲民主党から“番組制作費”として1000万円以上が流れていたことを暴露した上で、抗議を行なった。“自由で公正な社会のために、公共のメディアを目指す”と標榜しながら、「生活保護は権利です」「何故、女性議員は増えなければいけないのか？」等とリベラル色の濃い発信を繰り返してきたウェブメディアと立憲民主との不適切な関係が明らかになったのだ。

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11月25日夕方、横浜市で立憲民主党代表選の最後の街頭演説会が行なわれていた。候補4人の演説が終わると、現場で取材していた大手紙の女性記者が溜め息交じりに毒づいた。「これじゃあ原稿の書きようがない」。記者が嘆くのも無理はない。4人の候補が主張する政策には殆ど差がなく、肝心の日本共産党との共闘関係についても「見直すべきだが、間違いではなかった」等と一様に言葉を濁すだけ。候補者たちは、出演したテレビ番組でも「総選挙を同じ公約で戦った直後なのだから、政策が似通うのは当たり前だ」と口を揃えたが、野党関係者は呆れてみせた。「その政策が国民に受け入れられなかったから、総選挙で惨敗したんだろ。だったら、其々が『共産とは決別する』『いや、共闘路線は維持する』等と、独自の主張を戦わせなければ代表選をやっている意味がない。自民党総裁選のほうが、よっぽど政策論争が激しかった」。案の定、テレビの報道番組やワイドショーはオミクロン株一色で、代表選を扱う番組は殆どなかった。『日本維新の会』幹部は嘲笑った。「これで支持率が上がる筈がない」。その言葉は現実となる。代表選では決戯投票の末、政調会長の泉健太が勝利して新体制が発足するが、その直後に行なわれた『読売新聞』の電話世論調査では、前月には11％だった立憲民主の支持率が7％へと急落したのだ。これには立憲民主幹部も「ご祝儀相場はなかった」と肩を落とした。国民は、立憲民主の新しい執行部に期待どころか、関心すら持たなかったのだ。何故、泉が新代表に選ばれたのか。泉は1年前に行なわれた代表選にも出馬していたが、枝野に惨敗した。

立憲民主のベテラン議員が泉について解説する。「彼は見た目は爽やかだが、全く中身のない男なんだよ。逢坂誠二や西村智奈美は左過ぎるし、小川淳也は何をしでかすかわからない危険性がある。泉はこの1年間、政調会長として何の実績もないし、明確な政策すらないが、最も無難な男だったということだ」。選挙戦において最も注目されたのは、ドキュメンタリー映画にも取り上げられ、一定の人気を博していた小川だった。その小川を推したのは、代表代行の蓮舫や幹事長代理の手塚仁雄ら野田佳彦グループ。小川を代表にすることで、立憲民主の人気を一気に回復しようという目論見だった。一方の泉陣営を支援していたのは、誰あろう小沢一郎だった。泉は終始、優位に戦いを進めてきたが、小沢自ら『ホテルニューオータニ』につくられた選対本部に顔を出しては、「油断するな。引き締めろ」等と檄を飛ばしていた。小沢にとって泉は“担ぎ易い軽い神輿”だった。水面下では小沢らしい手練手管を弄する。4人で争われた代表選では、1回目で過半数をとるのは難しく、上位2人による決選投票になることが確実視されていた。そこで、小沢は逢坂を擁する党内最大派閥のサンクチュアリに裏取引を持ちかける。それは、逢坂が3位になった場合に、決選投票で泉支持に回れば“逢坂幹事長”を確約するというものだった。一方の小川陣営も、2位を確保できれば逢坂・西村と“2位・3位・4位連合”を結び、泉を逆転できると踏んでいた。党員票や地方議員票では、小川が他の3人を引き離せるとの計算があった。しかし、実態は大きく異なっていた。立憲民主の党員の殆どは、自治労や旧社民党支持者等左巻きばかり。ここで逢坂が小川を引き離したことで、小川は3位へと沈んだのだ。結局、決選投票では小川陣営の票が泉に流れ、泉勝利へと繋がった。新代表に就いた泉は、執行部の半数に女性を起用して刷新感をアピールしている。そして現在、立憲民主内では「泉が功労者の小沢を、選挙全般を取り仕切る総合選対本部長に任命するのではないか」との噂が駆け巡っている。“永田町の亡霊”が蘇ろうとしているとすれば、それは悪夢でしかない。新代表の泉は立憲民主をどのように変えようとしているのか。立憲民主幹部の一人が明かす。「兎に角、枝野幸男、福山哲郎、蓮舫、安住淳ら旧民主党幹部らを表に出さないようにする。臨時国会では、予算委員会でも一切、質問には出させない。そうすることで、立憲民主のイメージを一新しようということだ」。この言葉通り、枝野らは表舞台から姿を消すこととなった。枝野は11月末から、コロナ禍で自粛していた趣味のカラオケを解禁し、連日、アイドルグループの歌を熱唱しているという。枝野は周辺に語った。「私は代表選なんて興味ないから、新聞も読まないしニュースも見ない。一旦休憩させてもらうよ。どうせ誰が代表になったって参院選も勝てるわけがないんだ」。

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https://www.dailyshincho.jp/article/2022/02240555/?all=1


　　2022年2月24日号掲載

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https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220222/se1/00m/020/016000c


　　2022年2月22日号掲載

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